洋服を作るためのサステナブルな資材選びの2つのポイント
皆様こんにちは。
カジュアルファッションサポーターの渡辺です。先日社長が紹介したSDGsの記事に関連して今回は「サステナブルな付属」についてご紹介いたします。
先週の記事はこちらから
環境負荷が大きな産業2位は繊維産業
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、繊維産業は環境負荷が2番目に大きな産業です。※水の使用量において 出典:UNESE
他にも繊維産業による二酸化炭素の排出が地球上の約10%を占めていたり、マイクロプラスチックの流出を招いていたり、多くの面で環境負荷が大きいことが取り沙汰されております。出典: BUSINESS INSIDER
今までは気候変動や海面の上昇は遠い話、と感じていましたが、すでに日本でも、かつてないスケールの台風が日本列島を襲うなど目まぐるしい環境の変化を肌で感じるようになってきてしまったのです。
また大量生産、大量消費の前時代的なビジネスモデルは限界がきており、昨今ではサステナビリティ(持続可能性)といった言葉が多く使われるようになってきました。
エレン・マッカーサーのサーキュラーエコノミー
サステナブルのお話しをする上でエレン・マッカーサーについて軽く触れたいと思います。元長距離ヨットの船員であったエレン・マッカーサーはサーキュラーエコノミー、サステナブルを推進するリーダーの一人です。彼女は長い航海をする上で、わずかな備蓄品で命をつないでいる自らの姿を地球環境の現状に似ていると気付きました。そこから彼女はサーキュラー・エコノミーを推進していくために、エレン・マッカーサー財団を立ち上げました。現在も多くのグローバルカンパニーと連携を取り、資源が有限であること、それを循環させる必要があることを強く説いています。
サステナブルとは資源を循環させることという考えを筆頭にムダな消費を減らし、耐久性に優れた設計の製品の開発を行い、ゆくゆくはごみをゼロにしていく といった意味合いがあります。
参考URL:ELLEN MACARTHUR FOUNDATION
どの視点で循環を考えていくか
ファストファッションの悪循環
2000年代後半から中盤にかけてファストファッションの台頭により、衣類の生産数は2000年と比べてほぼ2倍となった反面、着用する期間は半分になったと言われています。ご存じのようにファストファッションはコストが安い分、クオリティにも反映され耐久性は良くはありません。またトレンド性が重視されるため、長く着用することを想定していません。安い洋服が未来永劫市場に出回り続けることを信じて止まずに、買って、着ては捨て、また買って着ては捨て…の繰り返しが知らない間に環境に多大なダメージを与えてきました。
循環を生み出す4つの視点
それでは限りある資源を循環させていくため、これからどうやって製品選びをしていけば良いのでしょうか。まず、循環において4つの視点があります。
1. リペア(修理して使用していく)
2. リユース(製品をそのまま再利用)
3. リファービッシュ(部品を整備して新品に準ずる状態に改修する)
4. リサイクル(製品を原材料に分解する)
1~3においては生産された製品をほぼそのままの製品の状態で循環させることを指しています。環境負荷は少なくなります。
資材選びの2つのポイント
それでは製品を作るための資材や付属はどうでしょう?資材を選ぶ時はほとんどの場合は新たに製品を生産していくことが前提かと思います。それなので、まずは上記の中の4の視点で資材を見ていき、次の2つのポイントで資材を選定してみましょう。
1. 天然素材(自然に土に還るため)あるいは生分解性の素材
2. 資源を再利用した素材を使用した資材
SDGsのゴールを考えるとフェアトレードの面や資材選びの上でできる項目は数多く考えられますが、ひとまずこの2つのポイントを明確にするとサステナブル資材の選定がスムーズにいくかと思われます。
サステナブル資材の紹介
さて前置きがかなり長くなってしまいましたが、項目別の資材をご紹介したいと思います。
1. 天然素材
貝ボタン
コットンテープ
2. 資源を再利用した素材
再生PET使用の裏地
キュプラ素材(コットンリンターの再生繊維)のバイアステープ
バイオマス(生物資源)を原料にしたボタン
ご紹介した資材の他にも多くの資材があり、ボタン以外にも糸や裏地、またネームなど多くの資材がすでにサステナブルな資材となっています。
エコテックスについて
エコテックスについても一緒に触れられることが多いのでご紹介します。以前にもエコテックスについて、エコテックス資材の紹介とこのスタッフブログでも2回紹しましたがおさらいします。
エコテックスとは、日本が定めている安全基準をはるかに超える300種以上の有害物質を対象とした世界最高の水準の繊維製品の安全基準認証です。安全性をはじめ、生産に携わる人や環境にも配慮した、人と地球に優しい繊維製品の証です。アジアでは唯一ニッセンケンが検証機関として存在しています。クラス毎に厳格さが分かれており、仕様用途によって基準を比べることができます。
MADE IN GREEN
そんな中でエコテックスにはMADE IN GREENといった認証が有ります。これは厳格なエコテックスの基準をクリアしている他に、QRコードを読み取ればどこの国でどの工場で生産されたのかサプライチェーンを確認することができるというものです。
アパレルではどちらかというとそういう生産背景をブラックボックスにしていたのですが、今後はこういった背景もオープンにしていく動きが強まってくるのではないかと思われます。
最後に
現在、サステナブルはどの業界においても必須事項であり、すでに投資家はESG指数(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)を重視した経営)が低いと発展性が無いと判断され投資の対象から外すといったことが通例となっています(もはや当たり前といった方が正しい表現かと思います)。
日本でもようやくESGが取り上げられていますが、少し遅れているといった評価だそうです。これからたくさん解決するべきことが山積みではありますが一人ひとりが正しい知識を持って、危機感を持って取り組みを行っていくというのが今後も求められています。そのような社会で、一つでもこのブログが皆様のお役に立てれば幸いです。
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渡辺瑛介
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