付属のプロが教えるヴィンテージファスナーのここだけのお話

公開日: : 最終更新日:2020/10/14 ファスナーのこと, 付属のこと

こんにちは!カジュアルファッションサポーターの渡辺です。

最近地元の友人が経営するカジュアルダイニングに行ってきました。池袋から一駅だけ離れた場所ですがとても閑静な場所で、オープンエアなお店からは爽やかな挨拶と笑い声が聞こえてきます。幅広い世代の地元の方に愛されているお店でした。かつて青春を一緒に過ごした友人が、地元から離れたところに新たな拠点を作っている姿に感動しました。思い出話に花を咲かせつつ、ついつい飲み過ぎてしまいました(笑)

そんな感慨にふけっているナベがご紹介するのは「ヴィンテージファスナー」についてです。

そもそもファスナーの歴史って?

ファスナーの歴史をさかのぼるとそれは1891年。アメリカ人のホイットコム・ジャドソン氏が開発しました。靴紐を容易に結び留めることを目的に考案し、それがファスナーの起源とされています。当時特許を取得したものの、当時の特許はアイデアのみで申請が可能で、実際に製造するとなると技術的にかなり課題が多かったそうです。1893年にシカゴ万博にてお披露目し、Universal Fastener Company を設立。しかしながら当時はあまり普及には至らなかったそうです。その後改良を重ね「The original」と呼ばれる現在の普及している構造の原型が完成しました。さらに1914年にはギデオン・サンドバック氏がエレメント同士が互いに噛み合うエレメント「フックレス No.2」をリリース。これはほぼ現在の構造と一緒です。主にブーツとたばこ用のポーチに使われました。その後も20年くらいは衣料向けには使われず、第二次世界大戦の頃になりようやく衣料向けに広く活用されるようになりました。日本では1927年ごろ広島県の日本開閉機会社(日本開閉器商会)がファスナーの製造を開始し、「チャック印」という商標で販売しました。チャックという呼び方は日本だけで存在しているのはこういった経緯があります。※ちなみに巾着袋をもじって「チャック」だそうです。

現在シェア1位を誇る(※金額ベース)でYKKが本格的にファスナーの大量生産に踏み切ったのは1951年。アメリカからチェーン製造機を輸入し生産をスタートさせました。

1960年ごろのアメリカではTalonファスナーが90%以上のシェアを誇り、世界的にも50%以上のシェア占めていました。そのためヴィンテージウェアの多くにTalonファスナーが使用されています。

国内で手配ができるヴィンテージファスナー

前章のようにファスナーの歴史は100年以上前にさかのぼり、その間に多くのファスナーの会社が設立されては合併や吸収、解消などの興亡を繰り返し、ファスナーの種類は多岐に渡ります。実際に当時のファスナーを手配するとなるとデッドストック品から探すこととなり、数や種類にはかなり限りがあり、数本は見つかったとしても量産となると現実的ではありません。※誠に恐れ入りますが弊社ではデッドストックのお探しは行っておりません。

それなので、今回紹介する「ヴィンテージファスナー」は実際に古いものではなく、当時の素材、風合いを再現し、生産方法までこだわった復刻版となります。現在の多くのファスナーが耐久性の面からポリエステル製のテープを使用していますが、ヴィンテージファスナーは自然な色合い、色落ちが楽しめる綿のテープの展開が多いです。デッドストック品と異なり新たに生産ができるため、留め具やオープンの仕様など選べる組み合わせも豊富です。

国内で手配できるヴィンテージファスナーとして朝日ファスナーのWALDESとYKKのオールドアメリカンを主に取り扱っています。他にも海外製ファスナーでTalon、IDEAL、SCOVILLなど取り扱いもあります。ヴィンテージファスナーは車に例えるなら、当時のファスナーはクラシックカー、海外製の現行品は輸入車、国内製の現行品は国産車といったところでしょうか(全然例えが上手くないですが…)。手に入りやすさと修理品の対応などを考慮すると国内製がアフターケアの面で軍配が上がります。それではそれぞれのヴィンテージファスナーを紹介していきます。



 

WALDES

こちらはYKKに次いで国内2位のシェアを誇る朝日ファスナーの主力製品となります。

WALDESは元々はアメリカのファスナーブランドでしたが日本の朝日ファスナーが商標を買い取り、力織機を用いて当時の生産方法を採用し生産しています。この生産方法では非効率なため、高速で大量生産はできませんが、独特の味わいを醸し出すファスナーを生産できます。ファスナー1本でこだわりを感じさせることができる「こだわり資材」となります。

 

WALDESのOPEN仕様。こんなにも選べます。

止めの仕様

国内での生産・加工のため、納期が把握しやすいのと修理などの対応が可能なのが大きなメリットです。他にもヴィンテージコイルや当時のエレメントを再現したClassic Zipperなどファスナーもあり、当時の雰囲気を再現した服を作りたい方や独創的なデザインを求める方に人気です。

 

オールドアメリカン

こちらはYKK製のヴィンテージファスナーです。綿テープタイプも有ります。使用の際には誓約書を書かなければならないという点が有りますがYKK製のファスナーですので品質は折り紙付きです。

特長としては綿テープ、プレススライダー、ヴィンテージ上止めなど1930~1940年当時の雰囲気そのままに現代のスペックにて再現したファスナーです。YKKなのでファスナーの品質は間違いないですし、アフターケアも問題ありません。スライダーはUNIVERSAL刻印のスライダーとなります。

裏技的ですが、UNIVERSALスライダーはオールドアメリカンでなくともYzipに使用することができます。(対応号数やスライダーの種類は弊社担当営業にお問い合わせください。)いつも使っているファスナーのスライダーを変更するだけでも雰囲気がガラっと変わります。ただし、スライダー単体での販売はしておりませんのでご注意ください。



その他(Talon、SCOVILL、IDEAL)

上記2社以外にもTalon、SCOVILL、IDEAL※IDEALは海外製がございます。

Talon引手 味わい深い…

Talonは現在でも国内に代理店が有り手配が可能です。ヴィンテージファスナー特有のいい雰囲気のスライダーや留め具などが有ります。

ヴィンテージながらシャープな印象です

SCOVILLも国内で手配が可能です。当時の雰囲気を出したり、いつもとは違うファスナーをお探しの方にピッタリです。

最後にIDEALですがこちらは海外製となります。当社で輸入販売をしています。

海外製のファスナーは輸入する時間やコストが掛かったり、アフターケアが難しかったりして、国産に比べ扱いづらいところがありますが、YKKや朝日ファスナーではないオリジナル感のあるファスナーを使いたいという方にご利用いただいています。



 

まとめ

皆様いかがでしたでしょうか。ヴィンテージファスナーを手配するにあたっては普通のファスナーより長納期であったり、単価が高価であったり、綿テープの場合は堅牢度についての注意も必要となりますが、手がかかっている分ご使用になられた製品は間違いなく満足感を得ることができます。こだわりのヴィンテージファスナーを企画に入れてみてはいかがでしょうか。

以上、付属のプロが教えるヴィンテージファスナーのここだけのお話でした。

お問い合わせはこちらまで!

The following two tabs change content below.
Avatar photo
カジュアルファッションサポーターのナベです。
私の特徴はデカイ!噛む!おでこ広い!
デカイ!です
千葉県出身ですが今は東京の川の近くに住んでます。 
みんなとジョイジョイするのが好きです!
宜しくお願いします。

記事を気に入ったらシェアをしてね

関連記事

PAGE TOP ↑