サスティナブルな素材ってなんだろう?part 1

サスティナブル素材のブログを依頼されると…

SDGs(持続可能な開発目標)は17の大きな目標と169の具体的なターゲットで構成されている。衣料素材はメーカーの考え方によっては結構なんでもサスティナブルって言えてしまう可能性もある。例えば少し前まで(今もかも?)フェイクファーをエコファーと呼んでいた。これはリアルファーに対してアニマルフリーであることでフェイクファーをエコファーと言っているのだけれども、アクリルやポリエステルが主原料で生分解性でもないファーのどこがエコなのか…頭の悪い私には全く理解できなかった。一部にエコペットという再生ポリエステルを使用したファー(というよりフリース)もあるけれども、フリースそのものが現状では海洋のマイクロプラスチック汚染の一因でもあるし、そもそも再生ポリエステルって本当にエコ?という…自分の尻尾を咥えたネズミが頭の中でグルグル回りだす。

 

そのサスティナブルって本当?

昨今の合成繊維素材の環境負荷低減に向けた開発は日に日に進んでいるように見える。各メーカーや繊維系のメディアが発信している情報だけを見ていればファッションも地球環境に貢献できる明るい未来がくるような気がするけれど、それらの素材に対する総合的な評価が判明するのはまだ先のことだろう。確かに技術の進歩は目覚しいけれど、それだけで地球の環境が保全されるなんて私にはとても思えない。悲観的な書き出しで申し訳ないけれども、“有名ブランドがみんなの地球のことを考えてるって素敵~♪”みたいな感覚でサスティナブルなブランドの服を着て、オーガニックやビーガンのレストランで食事をして、電気自動車に乗って”私は地球環境に貢献している!”なんて思っている野郎が…

いけない、いけない会社のブログでしたねw

企業のグリーンウォッシングやSDGSウォッングについては以前に書いた「THE GREEN LIE」エコの嘘という映画を紹介したブログも見て下さい

 

ただいるだけで環境破壊

今や80億人にも達しようとする人類が地球上で何かを消費するときに、それが天然の素材であれ化学的に作られた素材であれ環境にプラスになることはあり得ない。少なくとも今の段階では、いかにマイナスの要素を少なくできるのかということでしかない。だからと言って「このままだと地球は」と深刻になってしまうのも何か違う気がするけれど。ただ、企業やメーカーのプロパガンダを鵜呑みにして「再生プラスチックだから環境に良い」「オーガニックだから地球環境に貢献している」「電気自動車だからクリーン」「〇〇ブランドだから…」みたいに、自動思考になってしまったら、環境のために良いと思ってしていることが知らないうちにますます地球環境を破壊して行くことになってしまうかもしれない。

そこで今回は素材の環境への負荷という目線でテキスタイルに使われるサスティナブルと言われている素材の棚卸をしてみることにした。ただし勉強不足であることは否めないし、多分に個人的な思い込みや理解不足による誤解もあることをご了承いただき、不見識についてはご指摘をいただけるとありがたい。

では前置きが長くなってしまったので本題に

サスティナブルな素材

代表的なサスティナブル(今回は主に環境への負荷が少ない)繊維素材と言われているものには

・オーガニックコットン

・麻

・ウール

・シルク(動物繊維はサスティナブルではないという考えもある)

などの天然繊維系と

・再生プラスチック

・バイオマスプラスチック

・生分解性繊維

・再生繊維(レーヨン・テンセル・キュプラ等)

などの化学繊維・合成繊維系がある。

では、それぞれの素材がどのようにサスティナブルなのかを考えてみたい。

オーガニックコットン

衣服の原料として最も身近な繊維である綿(メン・ワタ・リクチメン)はインドで古くから繊維として利用されてきた。産業革命以降に植民地や新大陸において白人入植者が現地人や奴隷を労働力として砂糖・茶・コーヒー・ゴムなどの単一商品作物を栽培するプランテーションと呼ばれる大農園方式とともに広まった。1900年代に入って化学肥料や合成農薬が開発されると間もなく綿花栽培に導入されていったことは想像に難くない。現在の綿花栽培は99%が化学肥料・農薬・殺虫剤・遺伝子組み換えに頼って栽培されている。これだけサスティナブルが叫ばれていてもオーガニックコットンの割合はわずかに1%未満でしかなく、私たちに最も身近で親しみのあるコットンは地球環境や生産者の健康・生命を破壊して作られている繊維とも言える。もちろん綿花栽培をオーガニックに切り替えて行く動きは次第に高まっているし、単一商品作物栽培の限界に気づいてアウトドアメーカーのパタゴニアが中心となってリジェネラティブ・オーガニック認証を制定して新しい試みが始まっている。リジェネラティブ・オーガニックは効率最優先の単一商品作物栽培ではなく、かつて世界中で行われていたような再生・循環型の農法に新しいテクノロジーや手法を組み合わせてゆく未来の農業の形態になるのではないかと思う。ジェネラティブ・オーガニック農法についてはパタゴニアのHPを見て下さい。https://www.patagoniaprovisions.jp/pages/why-regenerative-organic

リジェネラティブ・オーガニック農法については今後の展開にとても期待しているオーガニックがあたりまえの世の中に!

麻と一言に言っても色々な麻がある。そして麻について話すと長くなる(すでにだいぶ長いけど…)。麻の種類や特性、用途については以前に書いたブログがあったのでコチラも参照して下さい。

麻の中で衣服に使われる代表的なものは3種類

リネン(亜麻)

ラミー(苧麻)

ヘンプ(大麻)

綿花に比べると農薬や化学肥料の使用も格段に少なくてすむ繊維植物である。

リネン(亜麻・フラックス)

リネンの歴史は古く、一説によれば3万年ともいわれエジプト時代には交易品として扱われていたという。現在はロシアやフランスを中心に栽培されている。連作を嫌うので同じ農地では6年に一度しか植えられない。したがって単一栽培には向かないため他の農作物との輪作でオーガニック栽培の可能性が今後さらに広まってゆくことが期待できる。

ラミー(苧麻・からむし)

ラミーは日本でも古くから栽培され伝統織物としての上布が伝わっている。ただし、国内で栽培した苧麻を手積みして織った着尺は高級車が買える程の価格。現在では中国・フィリピン・ブラジルが主な産地になっている。ラミーもオーガニックでの栽培が可能な繊維作物なので今後はさらにオーガニック栽培に移行して行くことが期待できる。

ヘンプ(大麻・大麻)

最後にヘンプ(大麻)について書くと…(もうあまりにも長くなるのですが…)

日本では元来、麻と言えば大麻のことを指し、縄文の昔より神の草として扱われてきた。そして、日本だけでなく世界の各地で太古から利用されてきた植物。とにかく無肥料・無農薬で荒れた土地でも育ち、成長が早く、たくさんの二酸化炭素を吸収することができる。そのうえ放射能なども含め土壌を浄化する働きが強く、成長期の葉や茎の上部、花穂に含有されるカンナビノイドは約60種類に及び中でもTHC(テトラヒドロカンナビノール)の薬理作用は紀元前から利用されてきた。ただし、果実やそのオイルには毒性が残らないため国内でもヘンプシードやシードオイルは販売されている。使い方さえ誤らなければ究極のサスティナブルな植物なのだ。あらゆる意味で非常に利用価値の高い植物である。日本では戦後に栽培が禁止されたこの神の草である大麻を人間の都合や利便だけを考えて利用することが良いのかどうか?これからの大麻との関りはいずれにしても人類の意識次第ということだろう。大麻についてもっと詳しく知りたい方は内海聡氏の著書「歴史の真相と大麻の正体」をお勧めします!

衣料に用いられる代表的な3種類の麻について私の理解を簡単に書いたけれど、麻は太古から人類の歴史と共にあって暮らしを支えてくれた植物。サスティナブルかどうかはやはり私たち人類の意識次第… かも

動物繊維や再生プラスチックはサスティナブル?

さて動物繊維のウールやシルクはサスティナブル?

再生プラスチックは本当にサスティナブルなの?

生分解性プラスチックは?

バイオマスとは?

長~くなりすぎたので続きはpart2に書きます。私の言っていることは世の中の情報と比べてちょっと変かもしれません。ただ、大企業やメディアのプロパガンダを鵜呑みにしない。有名ブランドや大手メーカーのイメージ戦略に乗らない。今はインターネットで多くの情報が簡単に手に入るけれど、自分にとってシックリくる情報は何なのか。ひとり一人が自分で感じてより良い未来の世界(地球)をイメージして行動することが本当に持続可能な社会へのENTRYになるのでは…などと柄にもなく思った残暑のきつい一日

テキスタイル担当の瀧澤でした

では~

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TAKIZAWA

テキスタイル課 課長株式会社クロップオザキ
テキスタイル担当のTAKIZAWAです。
生地のことなら何でもお聞きください。趣味がトレッキングや山登りなので、アウトドアウェアにもちょっとだけ詳しいです。「テキスタイルコラム-Textileから見た世界」を担当しています。私のミッションは失われつつある美しい地球環境を500年後の子孫に残すこと…誇大妄想Innovatorです(笑)

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