サスティナブル・エコの嘘「買わないことがベストチョイス?」
公開日:
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最終更新日:2020/06/24
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テキスタイルアドバイザーの瀧澤です。
買わないことがベストチョイス?
会社のブログでこのタイトルって大丈夫?
オーガニックやサスティナブルについてよくわからないながら、その時点での理解を何度かこのブログで書きました。最近の会社のスタッフブログでは担当者がそれぞれ得意分野のサスティナブル資材の紹介をして、会社の業務の棚卸をしてSDGsへの取り組みもまずは身近なことから始めています。
いま、ファッション業界で最も注目を集めているのは再生プラスチック素材。生地・ボタン・ファスナーなどさまざまな再生プラスチック商品が提案されています。そしてオーガニックコットン等の環境や人権に配慮した商品の問い合わせも増えてきています。
個人としては、ゴミの減量(ゴミになるような不要な物を買わない)を心がけていて、生ゴミの廃棄を減らすために昨年はじめた小さな菜園の移動式のコンポストは転々と位置を変えて耕すとミミズが沢山でてくるようになりました♪
消費者の選択が環境を守るのか
より多くの人がエコやサスティナブルを基準に商品を選ぶようになれば “企業も、より環境にやさしい商品を作るようになり技術の進歩に伴って環境問題も解決されてゆく…” と思いますか…?
消費者が賢くなってよりよい選択をすることで、社会も企業も変化して行き、地球の環境も保全されて良くなっていくだろうと…
衝撃のドキュメンタリー
このドキュメンタリーを見るまで私はそのくらい楽観してました。
THE GREEN LIE ~エコの嘘~
2020年の3月末に公開されたユナイテッドピープル配給のこのドキュメンタリー映画を緊急事態宣言下で映画館は休止中でしたが、仮設の映画館のストリーミング配信で視聴しました。6月になって映画館での上映も順次再開されていますが、まだちょっと映画館には行きたくないと言う人は、6月26日まで(あと2日)仮設の映画館でのストリーミング配信もありますので、一人でも多くの人に是非見てほしいドキュメンタリーです。
私はこのドキュメンタリーを見て、書きかけのこのブログ原稿をすべて削除しました。充分な事前調査もなくエコ・サスティナブル商品の紹介なんてまったく書ける気がしなくなってしまって、今回はこのドキュメンタリー映画を紹介することにしました。
下記のリンクからまずは予告編だけでも見てください。
https://www.youtube.com/watch?v=NQX8JYefOJs
そして惹かれるものを感じたら本編を是非視聴して下さい。
本編を見ていただけたら私の今回のミッションは完了♪
ここまで読んで下さりありがとうございました〜
えっ?
手抜き…
いやここからは㊟
私の独断展開ですので興味の無い方は必ずスルーしてください!
(※映画の中で紹介されている事例も含め今回はキリがないので個々の事例を挙げることは控えます。以下、文中で企業という場合、主に多国籍企業や巨大資本の大企業を指します)
消費者か、消費させられる者か
この映画のインタビューでMIT名誉教授のノーム・チョムスキー氏は、「現在は国家資本主義の本質である新自由主義政策の下で企業の力が急激に増大して企業が政治も民衆も支配している時代」だと語っています。
私たち(特に日本人)はPeople(大衆・民衆・人民・庶民)と呼ばれるよりもCustomer(消費者)と呼ばれることに慣れてしまいました。
1961年生まれ、高度経済成長と共に育った私もバリバリの消費者。消費は美徳などと言われた時代に育っちゃたからね。それはともかく “私は庶民じゃないわ〜” と言う人はいても、“俺は消費者じゃない” と言える人はめったにいないはずです。だって文句を言いながらも払ってるでしょう消費税…w
資本主義経済が地球を覆っている世界で「消費をしないこと」はほとんど不可能で、罪悪とさえ考えられてきました。その証拠に消費という概念を持たなかった人々(先住民族等)のほとんどは住む場所を追われたり、狭い居留地に押し込められ。分断されて彼らの本来の生き方を放棄せざるを得なくなりました。
経済活動がすべてに最優先された結果、消費・搾取による環境破壊は複数の地球システムが連鎖的に臨界点を超える地点に限りなく近づいていると、すでに多くの科学者や気候学者達が警笛を鳴らしています。
そうは言っても仕事も生活もあり消費を止めることは出来ません。
そんな状況で、個人に何が出来るのか?
その一つの答えが、私達一人ひとりが消費させられる者であることを止め、自覚的により健全な消費を目指すこと…なのだと思います。
ジャーナリストで作家、活動家でもあるテキサス大学教授のラージ・パテル氏は作中のインタビューでコメントしています。
環境保護について多くの人は自分ひとりの力は無力だと感じていて、同じように無力だと感じている多くの人がいることに気付かない。
↓
そこで企業は自社の商品を購入すれば個人でも環境保護に貢献できると言えば商品が売れる
↓
ところが実際に持続可能な商品をつくるには4倍〜5倍のコストがかかる
↓
今の社会は不必要なガラクタを大量に作り消費者はその中心にいて物を買うことで環境破壊に加担している
↓
消費者に出来ること:買うのを止める・企業を正しく選ぶ
↓
企業は不必要な商品だと思わせないためにサスティナビリティをうたい商品を売る
↓
誰もがエコの嘘の中で消費をしているのだと言うことを自覚する必要がある
↓
企業は潤沢な資金を使って、プロパガンダを事実と異なる環境や人に優しいイメージで脚色して、消費者に企業の取り組みを応援しなければと思わせる商品を作って売っている
(作中インタビューより要約、多少のズレはご容赦下さい)
個人にできること
消費者はメディアによって常に消費を煽られています。
すべての消費者がウェアラブルデバイスでネットにつながり、便利さの裏返しにビックデータやアルゴリズムを用いた消費行動のコントロールがあたり前という世の中がもう既に始まっています。
私たちは自由意志で何かを選択しているつもりでいながら、企業の意のままにコントロールされてしまうかもしれない。地球上を覆うこの大量消費主義の悪循環から抜け出すには人や環境を大切にする新しい社会や経済のあり方にシフトする根本的な変革が必要な時が来ているのだと思います。
そしてその一歩としてわたし個人にもできることは
✔ものわかりのよい消費者であることをやめる
・耳障りのよい企業のイメージや広告に騙されない
・企業の提案にもよいものはあるが、提案は受け入れてもプロパガンダは拒否する
✔買わない
・ゴミ削減の4Rと言われるREFUSE/REDUCE/REUSE/RECYCLE
企業はRECYCLEにばかり注目しているが最も優先されるのはREFUSEで不必要なものは買わないこと
・今の日本でレジ袋ばかりがやり玉に上げられているのは、レジ袋の製造に大企業が関わってないから、なぜ最も比率の多いペットボトルを削減しないのか(現在の技術で再生プラスチックをリサイクルするにはより多くの石油燃料を必要とすると言われている)
✔外資や大企業をできるだけ使わない
・個人的にはgoogle使いまくってますけどね…
✔有用な情報の共有と拡散
・有用な情報の共有と拡散(ひとりの力は無力だと感じている多くの人がつながることで大きな力になる)
・社会を変革するのは静かなる革命と静かなる抵抗(テロや戦いがよい結果をもたらした事はない)
✔瞑想
最後に”なんで瞑想なの?”と思われたかもしれませんがあの「サピエンス全史」「ホモ・デウス」の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は
現在の人間至上主義はすでにビックデータやアルゴリズムに人が支配されるデータ至上主義に取って代わられつつあり。近い将来、人類はデータやアルゴリズムを操作する少数の人間「ホモ・デウス」とデータやアルゴリズムに生活や人生まで支配されてしまう大多数の人類に2分されてしまうかもしれないと予測しています。
そうならないために瞑想を通じて真の自己を知ることが大切だと、最新作「21Lessons」で言っているそうです(すみません読んでまてんので)
私の場合、100均の電卓にも劣る演算能力しかないので○十年前にすでに機械に追い抜かれてしまってるんですけどね〜
今回もかなりだいぶ大きく脱線しましたのでそろそろこの辺で退散します。
絶賛!オススメ
服飾資材の健全な消費をお考えの方は
日々是迷走 テキスタイル担当の瀧澤でした
では〜
TAKIZAWA
生地のことなら何でもお聞きください。趣味がトレッキングや山登りなので、アウトドアウェアにもちょっとだけ詳しいです。「テキスタイルコラム-Textileから見た世界」を担当しています。私のミッションは失われつつある美しい地球環境を500年後の子孫に残すこと…誇大妄想Innovatorです(笑)
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