オーガニックコットンとは?今さら聞けない生地のお話
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最終更新日:2018/12/04
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すっかり涼しくなって秋本番!5月に種を蒔いた庭の綿(アオイ科ワタ属)は盛夏にオクラ(アオイ科トロロアオイ属)に似た花を咲かせて10月に入って実がはじけてきました。今夏は雨が多くて成長がいまひとつでしたがはじけた綿の実を眺めながらウイスキーをグビリ。群馬の友人が送ってくれたイノシシ肉を燻製にしながらまたグビリ。友人のところの綿の木は上手く育ったのだろうか?と、またグビリ…週末はグビリグビグビ……のテキスタイル担当です。
もっとも身近な天然繊維
綿は私たちの日常にもっとも身近な天然繊維ですが、庶民の生活に広まったのは江戸時代の後半以降で、それ以前は大麻や苧麻、葛布等が中心でした。そのため寒冷な気候の東北地方などでは防寒のために麻布を重ねて刺して用いる刺し子等の方法が発達しました。毛織物や薄くて軽い化合繊の防寒着が当たり前の現代とは比較になりませんが、麻などに比べ保温性のある綿は江戸中期以降には温暖な地方を中心に各地で栽培されるようになり一般庶民のくらしにも急速に広がっていきました。当時栽培されていた綿は全て有機・無農薬栽培と言えると思いますが、現在国土の狭い日本では採算性の低い綿は限られた一部で栽培されているのみで、インド・中国・米国・パキスタン等の国々を中心に栽培されています。そして効率的に良質な綿を得るために大量の農薬や殺虫剤、化学肥料が使われているのが現状です。
オーガニックコットンについて調べてみた。
そこで今回はオーガニックコットンについてチョット調べてみました。知っているつもりで“ああオーガニックコットンね”などとつい簡単に言っていましたが調べてみると綿花の有機栽培って本当に大変なのですね…
なぜオーガニックコットンなのか
良質な綿を得るためには栽培から加工まで大変な手間がかかります。そして良い綿を取る為に“食品ではない”と言う理由で大量の農薬や殺虫剤、化学肥料が使用されています。全世界で使用される殺虫剤の25%、農薬の10%が綿花栽培に使用されていると言われ、Tシャツ一枚分の綿に150gの農薬が使われているとも言われます。WHO(世界保健機関)とILO(国際労働機関)によると世界で農薬による中毒が年間数百万件、死者が2万人~4万人も出ているとしています。そしてインドをはじめ綿花栽培をしている地域では老人から子供まで多くの人々が生産労働に関わっています。
オーガニックコットンと認定されるための5つの条件
- 3年以上、化学農薬・化学肥料が使われていない土壌で栽培されること。
- 遺伝子組み換えの種ではなく、化学農薬や化学肥料などを用いず、有機肥料のみで栽培されたコットンであること。
- 労働の基準として、児童労働が行われていないこと。
- フェアトレードで取り引きされていること。
- 1〜4の条件を満たしていることを第三者認証機関が認証すること。
上記の5つの条件を満たしていなければオーガニックコットンとして販売することは出来ませんが、これは綿栽培の現実から見て簡単なハードルではありません。
オーガニックコットンの生産量
日本でも大正紡績㈱を中心としてオーガニックコットンに積極的にかかわる企業も徐々に増えてきています。しかしオーガニックコットンの生産量は世界の綿花生産量のわずか1%未満です。そして有機栽培綿の約7割を生産しているインドでは綿の種の90%にGMO遺伝子組み換えの種を使用していると言われていて、当然遺伝子組み換えの種子を使ったコットンはオーガニックコットンとは認められせん。
まずは知る事から
私たちの最も身近な天然繊維である綿の有機栽培はコストの問題や、生産者の無農薬栽培に対する意識的なハードルの問題。そして遺伝子組み換えの問題など数多くのハードルがある上に高価な有機栽培綿を身に着けられる限られた消費者のごく一部の人しか綿の有機栽培に対する知識や関心を持っていないのが実情です。有機栽培綿について知り、オーガニックコットンの比率を高めてゆくことは“お肌にやさしい”などと言うレベルの話ではない事を改めて認識してもっと関心を持とうとめずらしく真面目に考えてしまいました。 グビリ…
神奈川県藤野町の友人が綿を有機栽培して糸を紡いだり、染めたり、織ったりの面白いワークショップを開いています。(藤野わたわたの会)
https://www.facebook.com/fujinowata/
このブログを書くのに下記のリンクを参考にさせていただきました。
オーガニックコットン流通機構のお知らせ・レポート
http://noc-cotton.org/report/?cat=3
オーガニックコットン最前線
http://www.ikeuchi.org/organic/report/
tabi labo
http://tabi-labo.com/96640/patagonia-organic-cotton
パタゴニア オーガニックコットンの20年
http://www.patagonia.jp/patagonia.go?assetid=113790
made in earth
http://www.made-in-earth.co.jp/organic-cotton/condition/
その他テキスタイル一般に関するお問い合わせは
コチラへ
テキスタイル担当の瀧澤でした。
では~

TAKIZAWA
生地のことなら何でもお聞きください。趣味がトレッキングや山登りなので、アウトドアウェアにもちょっとだけ詳しいです。「テキスタイルコラム-Textileから見た世界」を担当しています。私のミッションは失われつつある美しい地球環境を500年後の子孫に残すこと…誇大妄想Innovatorです(笑)

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