ユニフォームなどでよく見る転写マーク、プリントとは何が違うの?どういうメリットがあるの?
公開日:
:
最終更新日:2021/03/04
今さら聞けないファッション資材のこと, 付属のこと, ネームのこと
こんにちは。スポーツファッション・サポーターの笠鳥です。
先日、国内出張で転写マークの作成の工程を見に行かせて頂きました。その際にとても驚いたのは転写マークの『版』を作成する工程にかなりの手間が掛かっていたことです。メッシュ素材(キメが細かいチュール)の生地をアルミの型枠に伸ばしてのはめ込み作業。
デザインの細かさと色数にもよりますが、1柄の転写シートの『版』作成するのに最大8版必要になってきます。『版』の作成にだいたい、1週間~10日間と言われていたことの意味がようやく解りました。その他にもさまざまな工程で、目視と機械での検品が行われていました。
機械での検品は、細かい画像検品なので少しのズレや転写の不良が有るものは全てはじかれていました。IDカード(ロット・日付・接着条件などもわかる)での管理が徹底されている為、問題があった場合には、同一ロットで試験とその後の対応がされていきます。
国内の工場は、どこも『付加価値』を付けて製品に開発・販売に取り組んでいます。
目に見えるものではありませんが、製品が上がった時には、ここに頼んでよかったなと思えるモノづくりをしています。少々値は張ってしまうかもしれませんが、日本製の物をお勧めしたいですね。
今回はたくさんのメリットがある転写マークについてご紹介いたします!
転写マークとは
転写マークとは衣料や小物などにブランドロゴやエンブレム、アイコン等のプリント加工を施すための加工方法の一つです。
台紙(シート)の上にあらかじめ成形した図柄などを生地や製品に反転して写し取るので転写と呼ばれています。直接生地にプリントする直打ちプリントもありますが、今回は、デザインして形成されたシートを、熱転写機を利用して、生地に直接貼り付ける転写マークをご紹介します。
製品に転写する前は、フィルムに貼りついたシールのような状態の物です。シートの裏面には、熱で溶ける糊が付いており、熱転写機で熱と圧力を掛けて生地に張り付けて行きます。転写後、フィルムを剥がすとシールが貼りついた状態になっています。
サッカーのユニフォームなどにみられるエンブレムも転写マークが多いです。
近年では、ブランドネームや品質表示代わりに使用するケースも増えてきています。
直打ちプリントとの違い
縫製工場にプリントの設備がない場合でも、熱転写機があればプリント柄が付けられます。また直打ちプリントに比べ、転写シートの方がプリント加工の時間も削減できます。直打ちプリントの場合、プリント設備のない工場は生地を裁断して外注のプリント工場に加工依頼を出さなければなりません。
裁断物が紛失する可能性、失敗を見越したロス率の手配など、転写シートの場合は熱転写機(縫製工場)で接着できるのでそのリスクが減り、またそれに掛かる経費も削減できます。
転写シートのメリット
イメージ通りに出来上がる
直打ちプリントと比べ、作成したデザインを確認してから接着できるため、製品が仕上がった時のイメージが違ったり、色ブレが起こったりしないのが特徴です。アルファベットの筆記体のような細かい絵柄から、1mm~2mmの点や線のような形状でデザインでも作成が可能です。
どこで縫っても同じマークに
アイテム毎に違う縫製工場で製品を生産しても、シート状になっている転写シートを使用するので、全ての製品が同じクオリティーに仕上がります。
工場で一括管理が出来る
縫製工場に熱転写機があれば、外部に依頼する事なく、製品を上がるまで一括で生産・管理が出来ます。時間・コスト共に削減できると思われます。
材料問わず貼り付けることが可能
転写シートはストレッチ性がある為、スポーツ製品のストレッチ性のある生地にも対応可能です。帽子・バッグ・手袋・靴などの資材、車関係では、チャイルドシートやシートカバー、エアーバックの注意ラベルなど、様々なところで用途に合わせて使用されています。
背中がチクチクしない
ブランドネームに使用されることもあり、織ネームとは違い、生地に貼りついている為、肌にあたっても違和感がありません。ストレッチ性も有る為、スポーツウェアなどにもよく使用されています。
転写マークの注意点
接着する生地と転写シートの糊は相性があるため、しっかりと接着できる生地とできない生地があります。そのため使用前の接着試験を必ずお願いします(生地を提供してもらえれば試験を行います)。
圧着に関してはアイロンでも接着は可能ですが、あくまで仮の接着と認識してください。のちのち剥がれる危険性が大です。熱転写機と呼ばれる接着機械を利用して、(指示された)適性の温度・圧力・秒数で圧着してください。
身生地の色の薄い・濃いに関わらず、生地の組成によっては色が昇華する恐れのあるものがあります。昇華防止材を使いますが、それでも製品検査が必要です。これも実際に利用する生地をご提供いただき検査を行うよう指示願います。
面積が大きくなると単価が上がってしまい直打ちプリントより効率を差し引いても高価なものになる可能性があります。私たちのような会社に相談しながら進めていっていただくとよいか存じます。
お問い合わせはこちらから
笠鳥
週末は少年サッカーのコーチをしているので年がら年中真っ黒です。
葛飾区で練習試合が出来るチームの方、連絡待ってまーす。
宜しくお願い致します。
最新記事 by 笠鳥 (全て見る)
- 反射熱で暖かい!アルミ中綿のご紹介 - 2020年2月26日
- スナップボタンとは?~豊富な種類を写真付きで詳しくご紹介!~ - 2019年5月22日
- ユニフォームなどでよく見る転写マーク、プリントとは何が違うの?どういうメリットがあるの? - 2019年3月27日