オーガニックってなに?

みなさんはオーガニックにどんなイメージを持っていますか…?

 

安心安全・肌にやさしい・美味しい…等々でしょうか?

身体に良さそうなので日常的に取り入れたいけれどちょっと値段が高い…なんて話をよく聞きます。

ところで前回サスティナブルについて書いた時に、次回はサスティナブルをもっと掘り下げて書こうと思っていたのですが、実はサスティナブルと言う範囲の広さにあっという間に挫折しました…(笑)

そこで今回はサスティナブルの一つの重要な柱であるオーガニックについてちょっとだけ掘り下げて書いてみることにしました。

前回の記事はこちら↓

ファッション産業でのサスティナブルは意識のパラダイムシフト



そもそもオーガニックって何?

オーガニックをひと言でいうと、農薬や化学肥料を使わず自然の恵みを生かした農林水産物及びその加工品を指し、その生産・流通の行程も含めて公正で、持続可能な生産物や商品で公的な認証機関によって認証を受けたものがオーガニックです…ハァハァ

日本では有機農法や有機栽培で生産された生産物を一般的にオーガニックと呼んでいる場合もあります。

正式なオーガニック商品には国や地域毎に認証団体があり各々にオーガニックの基準を設けて認証を行っていますが、これらの認証基準はドイツのボンに本部を置く世界最大の国際的NGOであるIFOMA(アイフォーム:国際有機農業運動連盟)が定める基準を元にして作られていて、オーガニック認証を得るにはかなり厳しい基準をクリアしなければなりません。しかし考えてみると、戦前の日本の農林水産業はほとんど全てがオーガニックだった訳ですし、オーガニックの考え方が進んでいる欧州も含めて近代農業が開始される前は世界中の全ての一次産業がオーガニックだったと言えると思います。

オーガニックの歴史

したがってオーガニックという概念は近代農業が開始されることで始まったと言えます。
1920年頃に合成農薬や化学肥料が開発されたことで近代農業が始まる以前は世界中の一次生産物は全て有機栽培。そもそも有機栽培を特別に考える必然性がありませんでした。

しかし合成農薬や化学肥料の利用が広がるとともにこの近代農業に異を唱える小さな集会が行われるようになります。

ルドルフ・シュタイナー

オーガニックの考えの元になってゆくのはルドルフ・シュタイナーが提唱したとされる「バイオダイナミック農法」でシュタイナーはドイツにおいて8回の講演を行っています。
しかし1945年に2次世界大戦が終結すると効率優先の大量生産方式は本格的に世界に広がって行きます。

 

レーチェル・カーソン

1962年にDDTや農薬・化学物質の危険性を訴えたレーチェル・カーソンの著作「沈黙の春」が出版されベストセラーとなり、世界中で健康被害や環境汚染の問題が顕在化してオーガニックも大きなムーブメントへと発展してゆきます。

1972年パリの近郊で設立されたIFOAM(現在はドイツのボンが本部)が中心となり、国連食糧農業機構・国連開発貿易会議などの国際機関と協力、世界自然保護連合をはじめとするNGO団体等との連携を通じて、自然環境や生態系と調和した有機農業の普及に努めてきました。

そして2005年にはIFOAMが中心となりオーガニックの定義が統一され現在ではIFOAMの認証基準が世界の認証基準の雛型になっています。



日本でオーガニックが広がらない理由

(オーガニック重要な2つのベネフィット)

日本ではオーガニックに対する意識がヨーロッパなどに較べて10年は遅れていると言われます。

もちろんオーガニックの概念は西欧から始まったムーブメントであり、社会構造も異なる日本がそのまま受け入れるにはハードルが高い部分もあるのかも知れません。ただ、最近まで日本の消費者のオーガニックに対するイメージは、安全・安心・肌にやさしい・美味しい・身体に良い…など。個人がオーガニック商品から受ける利益(パーソナルベネフィット)ばかりにフォーカスされていて、もう一つのより重要な社会的課題を解決して行くために社会が受ける利益(ソーシャルベネフィット)であるフェアートレード・貧困撲滅・土壌水質汚染低減・温暖化防止・児童労働防止・生物多様性の保護…等々にほとんど焦点があてられて来なかったことが原因に思えます。

このオーガニックの2つのベネフィットはオーガニックが広く普及して行くための大切な両輪でありどちらか一方だけでは前に進むことが出来ない事をより多くの人が知る必要があります。

ファッションの業界では

世界で生産されている繊維のおよそ4分の1を占める綿(コットン)は天然繊維の中では最も生産量が多く私たちに身近な繊維ですが、最も多くの農薬や殺虫剤が使われている農作物でもあります。

現在生産されているコットンの99%はこの大量の農薬や枯葉剤、化学肥料を使う方法で生産されていて、オーガニック認証を受けているコットンは1%未満でしかありません。オーガニックコットンとして認証されるには厳格な生産基準に従った移行期間が2年~3年以上もかかるために現在ではこの移行期間にあるコットンやもう少し緩やかな基準において生産されたコットンBCI(ベターコットンイニシアチブ)やフェアトレードコットンを取り扱う企業も増えています。

この様な動きはオーガニック製品が社会に与える利益が企業や消費者に理解されることでより広がって行くのではないかと思います。



オーガニックを支える4つの原理

さて、世界のオーガニックの基準となっているIFOAMではオーガニックとは何であるかを4つの基本原理として規定しています。

  • 健康の原理
  • 生態的原理
  • 公正の原理
  • 配慮の原理

 

だいぶ長くなってしまったので、次回この4つの原理について説明して行きたいと思います。
(この記事は有限会社ドイツオーガニック研究所さんの動画などを参考にさせていただいて書いています)

テキスタイル担当の瀧澤でした。

では~

 

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TAKIZAWA

テキスタイル課 課長株式会社クロップオザキ
テキスタイル担当のTAKIZAWAです。
生地のことなら何でもお聞きください。趣味がトレッキングや山登りなので、アウトドアウェアにもちょっとだけ詳しいです。「テキスタイルコラム-Textileから見た世界」を担当しています。私のミッションは失われつつある美しい地球環境を500年後の子孫に残すこと…誇大妄想Innovatorです(笑)

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