コートやダウン・中綿ウェアに使われるキルト、キルティングの基礎知識

こんにちは、カジュアルファッションサポーターの吉沢Aです。いよいよ春本番、何故か心浮かれる今日この頃。しかし、ファッション業界はもう秋冬物に突入です。冬のアイテムには欠かせないキルトについてのまめ知識をお話しします。

 

キルトの基礎知識

キルト(QUILT)とは

キルトというとパッチワークキルトを思い浮かべる人が多いと思いますが、私たちのアパレル業界では主にコートやダウン・中綿ウェア用のキルティング加工を指す場合が多いです。

最近ではどんどん軽量化が進み、軽くて保温性が高くコンパクトに収納できるダウンや中綿キルト生地を使用した製品が登場しています。今や私たちの生活に欠かせないアイテムになっています。

ちなみにキルトを作製する工程をキルティングと呼んでいます。キルトは2枚の布の間に綿、羊毛、羽毛、合繊綿、芯などを挟んで刺し縫い(ランニングステッチ)を施すテキスタイル技法で、保温・防寒や布の厚みでクッション性を持たせる等の目的で様々なキルトが世界中で作られて来ました。

 キルトの用途

おもに保温・防寒やクッションを目的として作られるキルトはアパレル製品ばかりでなく布団・マットレス・クッション・寝袋・ベットカバー・小物など様々な用途に用いられています。

寝袋

古くは古代エジプトの時代にもその原型が見られます。日本でも奈良・平安時代には中綿に絹を入れた“綿入れ”が使われていました。その後、江戸時代後半に木綿(モメン・ワタ)が普及すると綿入れ刺し子が庶民にも広まりました。綿入れも立派な日本の伝統的キルトと言えると思います。

楽天市場より 宮田織物 綿入れ半纏 

 

 手芸としてのキルト

キルトはトップまたはキルトトップと呼ばれる表地と裏地の間に中綿を重ねて刺し縫いして作られます。冒頭に述べたように一般的に日本ではキルトというとトップにパッチワークを使ったパッチワークキルトをイメージする人が多く、パッチワークキルトから独自の発展をしたハワイアンキルトなども人気があります。また日本的な感性や素材感を生かしたキルトをジャパニーズキルトと呼んでいます。世界の各地に伝統的な柄や手法のキルトが伝えられている一方で、多くのキルト作家たちが様々な技法や感性で新しいキルトを製作し発表し続けています。東京でも毎年、世界最大級のキルトの祭典「東京国際キルトフェスティバル」が開催されています。

 

服地としてのキルト

コートや中綿・ダウンウェアなどの服地として使われるキルトは、専門のキルティング工場で生地として加工してからキルト生地として縫製工場に納入し製品にするケースと、縫製工場での縫製工程でキルティング加工を行うケースがあります。

前者の専門キルティング工場では様々な種類の表地・裏地・中綿を使用して複雑なキルトのパターンを組み合わせてキルティングしたり、刺繍やステッチを入れるなど洋服のデザインに合わせてカスタマイズしたりすることも可能です。一方、ダウンや中綿ウェアでは専門の縫製工場でダウンや中綿を注入しながらキルティング加工を施して縫製しています。

コンピューターキルティングマシン HASHIMAより

 

縫わないキルティング

最近ではキルティングのステッチの替りに圧着加工を施したシームレスダウンが人気です。圧着方式のダウンは縫い目からのダウンの吹き出しが無く、スッキリしたスタイリッシュなデザインに仕上がるので好まれているものと思われます。但し、圧着加工に使用されるポリウレタン樹脂は紫外線や水分・熱などの影響での経年劣化が避けられず、クリーニングなどによる剥離が懸念されています。その経年劣化による剥離をメーカーとしては消費者に説明する必要があり、消費者としてもそれを理解、了承する必要があります。

 

圧着加工以外にも糸やバインダーを使わず超音波振動により熱可塑性素材を解着結合するソニックス加工(ピンソニック加工)という新しいキルティング技術があります。縫製や圧着加工とは異なる安全性・信頼性・機能性に優れた加工法として評価されていて、寝具を始め様々な資材に利用されています。

 

次回はキルトの色々な種類や柄についてお伝えする予定です。

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吉澤 斉司

吉澤 斉司

営業2部 部長株式会社クロップオザキ
ファスナーアドバイザー、またの名を「ファスナーめがね」の吉沢です。
尚、クロップオザキには吉沢が二人います。
吉沢Aまたは吉沢斉司(さとし)とご指名下さい。
ファスナーのことなら何でもお聞きください。
得意技はファスナーとドット釦の加工、修理です。
どうぞ宜しくお願いします。

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