ジャパンクオリティ、日本のフェイクファーの基礎知識

リアルファーとフェイクファーとエコファー

実際の動物の毛皮を用いたリアルファーに対して合成繊維を使って毛皮に似せて作ったファーをフェイクファーと呼んでいます。

もう少し詳しく言うと、本物の毛皮を模したパイル織物・パイル編物を総称してファイクファーと言います。

また、最近では動物の毛皮を使わない=環境にやさしい=エコと言う観点からエコファーとも呼ばれるようになっています。

ただしフェイクファーは合成繊維が中心の素材なので生産や破棄の際にも有害物質を出すことからフェイクファー=エコファーと呼ぶことが正解なのかは意見の分かれるところです。

また一方では、エコペットなどの再生ポリエステルを使用した製品への取り組みも広がっています。

フェイクファーのチャーム

リアルファーの記事はこちら↓

リアルファーとフェイクファーについて



日本のフェイクファー産地と歴史

江戸時代からの木綿織物の産地であった高野口のパイル織物の始まりは、明治期に海外からの織物が日本に入ってくるようになってヨーロッパのシェニール織を目にした高野口出身の前田安助と言う人が考案した“再織”と言う織物でした。

再織は1度織り上げた生地を縦糸に沿って裁断して毛羽立たせ、モール糸にしたものを横糸にして織り上げる手法で再び織り直すことから再織と呼ばれ、カーテンや家具などの装飾用高級手工業品として主にアメリカなどへ輸出されるようになります。

大正期にはいると西山定吉という人がシール織物(パイル織物)を考案して機械による生産が出来るようになります。

シェニール織

 

江戸時代からの木綿織物の産地であった高野口のパイル織物の始まりは、明治期に海外からの織物が日本に入ってくるようになってヨーロッパのシェニール織を目にした高野口出身の前田安助と言う人が考案した“再織”と言う織物でした。

再織は1度織り上げた生地を縦糸に沿って裁断して毛羽立たせ、モール糸にしたものを横糸にして織り上げる手法で再び織り直すことから再織と呼ばれ、カーテンや家具などの装飾用高級手工業品として主にアメリカなどへ輸出されるようになります。

大正期にはいると西山定吉という人がシール織物(パイル織物)を考案して機械による生産が出来るようになります。

パイルジャカード織物

 

そして昭和になるとドイツより二重パイル織機が導入されてさらに生産を加速させ、終戦後に新素材としてアクリル糸が使われるようになるとパイル織の技術を用いたフェイクファー生産が盛んになり、その技術は本場、ヨーロッパをも凌いで西欧をはじめとする世界のトップブランドでも採用される高品質なフェイクファーを生産して現在に至っている。

フェイクファーの構造

メリヤス式パイル編機(中野メリヤス工業より)

フェイクファーは、タオルやベロア・ベルベット・コーデュロイと同じパイル織やパイル編の組織で、ループパイルを切り開き起毛して毛皮の毛並みのように加工します。

以前のフェイクファーはパイル織物が主流でしたが近年は小ロットで生産が出来るパイル編みのファーが多くなっています。

また、切り開いたパイル糸を長短に分けて刺し毛と綿毛の感触を模し、染色やプリントの技法によってさまざまな動物の毛皮に似せたフェイクファーが作られています。



フェイクファーの原料

かつてのパイル織物の素材には木綿、絹、人絹糸、羊毛が多く用いられていました。

現在のフェイクファーの原料はアクリルやアクリル系繊維、ポリエステルが主流で用途やコストに応じてこれらを使い分けています。

最近ではパイルに綿や羊毛・モヘア・アルパカなどの天然繊維を使った高級なボアタイプのファーも注目されています。

ファイクファーの種類

シープタイプのフェイクファー

ロングウェーブタイプのファー

 

フェイクファーの種類は毛足の長さや形状、密度、色や柄の加工によって、ムートン・フォックス・ミンク・ラビット・ヌートリア・チベットラム・ラクーン・チンチラ…等々の様々なタイプがあり、また毛先を丸めたシープタイプのボアや両面パイル、ハイパイルジャカード機を使ったオリジナルジャカード柄の表現も可能です。

ハイパイルジャカードボア



パイル織物のこれから

ファッション産業の成熟に伴って国内のフェイクファー市場も小さくなっていますが日本のフェイクファー製造の技術は世界でもトップレベルです。

また、リアルファーからエコファーへの世界的な流れもあり、高野口産地では毎年東京でファーパイルファブリックぷあぷあ展を開催しています。

さらに、フェイクファーのおおもとになるパイル織物・パイル編物の技術を利用した商品開発はファッションばかりでなくインテリヤ・寝装・産業資材・排水フリンジ・集塵フィルター・断熱遮音発泡積層体等々の工業用用途に幅広く使われています。

そして、高野口産地や、同様にパイル織物の技術で主に福井県で二重ビロード織で製造されるベルベットはテレビやスマートフォン等の液晶を製造する際のラビングクロスとして使われていて現時点では液晶の製造に欠かすことの出来ない資材となっています。

これからも新しい技術と精度の高いパイル製造の技術の融合が私たちの生活に欠かせない新しい製品を生み出して行くことと思います。

 

リアルファーについてはこちら↓

リアルファーとフェイクファーについて

 

お問い合わせはこちら

The following two tabs change content below.
Avatar photo

TAKIZAWA

テキスタイル課 課長株式会社クロップオザキ
テキスタイル担当のTAKIZAWAです。
生地のことなら何でもお聞きください。趣味がトレッキングや山登りなので、アウトドアウェアにもちょっとだけ詳しいです。「テキスタイルコラム-Textileから見た世界」を担当しています。私のミッションは失われつつある美しい地球環境を500年後の子孫に残すこと…誇大妄想Innovatorです(笑)

記事を気に入ったらシェアをしてね

関連記事

PAGE TOP ↑