サスティナブルな素材ってなんだろう?part3

決算月の4連休って微妙ねぇ~

お盆明けに切り戻したナスが新しい実をつけはじめ、もう少し涼しくなったらママチャリの籠にbeerとwineを冷やしたクーラーを入れて、自転車で45秒の所にあるCICOUTE BAKERYで美味しいパンを仕入れて5分も走れば気持ち良く飲める場所があちこちにあって…

秋はいいなぁ~♪

飲酒徘徊&テキスタイル担当の瀧澤です!

 

再生プラスチックを使うことがサスティナブルなんかじゃない!

 

いきなり言い切ってますけど

大丈夫ですかね~(;´・ω・)

 

前回のブログpart1 前々回のブログpart2 では

 

天然繊維のサスティナブルについて書きました。

引き続き今回は

再生プラスチック・生分解性繊維・再生繊維

そしてバイオマス素材について考えてみます…



 

再生プラスチックはサスティナブルか?

「プラスチックスープの海」とか「太平洋ゴミベルト」という言葉を聞いたことがあると思います。年間800万トンを超えるプラスチックゴミが海洋に流出し、日本列島10個分もの広さに及ぶゴミの海流ができています。その被害が及ぶのは海洋生物だけにとどまることはありません。2018年に発表されたハワイ大学の研究論文では、プラスチックゴミが太陽光や水に晒されて劣化する過程でメタンガスやエチレンガスを発生していることが判明しました。特にメタンガスには二酸化炭素の25倍の温室効果があり、さまざまなプラスチック製品の中でも最も多くのメタンとエチレンガスを放出するのは、レジ袋やペットボトルの原料にもなっているポリエチレン。合繊服地で最も使われているポリエステルもポリエチレンから作られています。そして製造された服の6割が廃棄され、その82%がリユースもリサイクルもされることもなく、焼却や埋め立て処分されていることはニュースなどでも取り上げられていますよね。

 

イノベーションが環境問題を解決してくれる?

 

日本には日本環境設計株式会社という伊藤忠商事・三菱商事・豊島等の大手繊維商社が挙って資金を出している、プラスチックのケミカルリサイクルの素晴らしい技術を持った会社があります。回収したポリエステルを原料の状態まで溶かし、石油から作るのとほぼ同等のポリエステルを再生出来る技術が確立されていて、来年の2021年夏には子会社であるPRT(ペットリファインテクノロジー株式会社)を再稼働、年間22,000トンのリサイクルペット樹脂の生産を開始する予定です。確かにこうした技術が地球環境の持続可能性に必要欠くべからざる存在になってゆくことは間違いないです。環境設計の岩元取締役会長は「僕らは廃棄物を地上資源と呼んでいる、回収して循環させる仕組みを作れば技術的には本当はもう新しい石油を使う必要なんてないんですよ。」と言っています。こんな力強い発言を聞いたら技術革新=イノベーションが地球の環境問題のほとんどを解決してくれるような気がしてしまいます。しかし、岩元会長は「難しいのは回収して循環させる仕組みづくりだ」とも言っています。残念ながら現状では世界でリサイクルされているプラスチックは全体の9%に過ぎないのです。

 

必要なのは脱プラ社会への変革!

環境問題は待ったなし、脱プラスチックも含めた脱炭素社会への変革は一刻を争う状況です。少し前まで地球温暖化のティッピングポイント(不可逆的に温暖化が進み後戻り出来なくなる地点)は平均気温が3℃~4℃に上昇するどこかにあると言われていましたが、今ではそのポイントは1.5℃~2℃上昇のどこかである可能性が高いと言われています。既に1℃の気温上昇が確認されており、2030年までに1.5℃の上昇に抑えることができるのか?循環経済への移行や脱プラスチックが待ったなしの世界の動きの中で、先日辞任した日本のTOPは「必要なのはゴミの適切な管理でイノベーションに解決を求めることだ」と発言していたけれども、多くの国々が緊急事態と認識している今、既存の仕組みを大きく変えることもせずに、技術革新・イノベーションによるブレイクスルーに期待して、問題を先送りする無責任な姿勢は、それも私たち日本人の意識の反映なのかもしれません。

日本のファッション産業界は海外に比べても環境問題への意識が低く、大きく出遅れていると言われています。確かに売るためのサスティナブルから脱却しているとは到底思えないですし、サスティナブルが世界のトレンドだから取り入れよう程度の問題意識にしか感じられないのは私だけでしょうか?原料の良質な再生プラスチック原料を確保するために未使用のペットボトルをつぶしていると聞いたことがあります。真偽はわかりませんがあり得そうな話です。

私はサスティナブルで地球環境に貢献できる繊維素材だからという理由で再生プラスチックをお薦めしません。今はまだプラスチックを回収して再生するエネルギーも化石燃料に頼っていますし…プラスチックの利用を本当に必要なものだけにして、利用したプラスチックを100%に近い形で循環させて利用すること。そのためには例えば、服地や繊維からの廃プラスチックはすべて再生プラスチック繊維として再生して循環利用し、合成繊維と言ったら全てが再生プラスチックを利用しているという風に早くなったら良いなぁと妄想しています。

またしても

演説になってしまってすみまてん(;´・ω・)

再生繊維・生分解性繊維・バイオマス素材について要点だけをまとめてみます。



 

再生繊維はサスティナブル?

再生繊維は天然のセルロース(植物由来)原料を薬品で処理して溶かして作られる繊維でレーヨン・ポリノジック・リヨセル・テンセル・キュプラ等があります。一般的には天然素材由来であることと生分解性であることからサスティナブルな繊維であると言われています。特にキュプラはコットンリンター(収穫した綿の種のまわりの綿)を利用している繊維で、サスティナブル素材としても認識されています。正直に言って、処理の工程については勉強不足で理解していなく、原料に使われる植物がどのような形で栽培されているのかもほぼ知らないので改めてもっと良く調べてみたいと思っています。

 

生分解性繊維はサスティナブル?

服地や資材として生分解性繊維が適しているのかは私としては疑問です。生分解性は自然環境の中である程度速やかに分解されなければ意味がないので生分解性の素材を服地やパーツとして使うことは製品の耐久性が下がることになり、良い製品を長く使うという意味でのサスティナブルとは相反する気がします。生分解性のポリエステルと生分解しないポリエステルを交織したような商品をたまに見かけますが、商品の企画意図がまったく理解できません!素材としてはバイオ原料由来の生分解性プラスチックというのがサスティナブルなのだと思いますが、生分解性プラスチックを使ったからサスティナブルという事にはならないという事を認識して使う用途をよく吟味して使わなければ全く意味がないと思います。生分解性プラスチックについて私自身もっとよく知る必要があると思っています。

 

バイオマス素材はサスティナブル?

バイオマス素材についてはpart2で書いた内容を転載します。

(以下転載)

バイオマスと言うと新しい技術を用いた素材のように思うかもしれませんが、実はコットンや麻などの植物性天然繊維も動物性の繊維も天然繊維と呼ばれるものはすべてバイオマス素材なのです。バイオマスという言葉では、バイオ燃料やバイオエタノールなどの石油の代替燃料の技術が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。バイオマスのバイオ(BIO)は生命や生物全般を指し、無機物に対する有機的なものは全てバイオと言えます。マス(MASS)は質量のことなのでバイオマスは生物の量を表しています。

地球上の全バイオマス量は乾燥重量で約1兆8000億トンと試算されています。1兆8000億トンがどのくらいの量なのかちょっと想像しにくいですが、世界中の耕地で一年間に得られるバイオマスの量は約90億乾燥トンと言われています。バイオマスは地球の生態系の中で形を変えながら循環している有機的なエネルギーなので、人口の増加などによって使う量が増えても環境への影響は比較的緩やかでした。人類は化石燃料(石油)の利用が始まるまでは食料を含めたほぼ全ての物質エネルギーを太陽とバイオマスとから得ていたと言えます。しかし現在は、化石燃料の利用の増大による待機中の炭酸ガスの増加や循環されないプラスチック廃棄物などの様々な問題を引き起こしています。単純に考えれば化石燃料の使用を抑制して、バイオマスを健全な形で有効利用して行くことが持続可能な世界を実現して行くための最も現実的な方法なはずです…(以上転載)

少し繊維から離れてしまいますが、日本ではバイオ発電の為のパーム油発電設備の設置申請が急増しています(反対運動も)。パーム油発電の原料となるのは主にインドネシアやマレーシアで生産されるアブラヤシでパーム油は安価で、酸化しにくい性質から、世界で食品・洗剤・医療品・化粧品などに幅広く使われていて、現時点でもアブラヤシを増産するために熱帯雨林が焼かれるなど大きな環境問題になっています。バイオマスは化石燃料の代替エネルギーとして燃焼時に発生した二酸化炭素を森林などで再生産することで吸収できると言う理由で利用が広がっていますが、アブラヤシの様に安価で効率が良いという経済的な理由での利用はさらなる熱帯雨林の破壊を招くだけでなく、本来は地産地消での地域エネルギー循環としてのバイオマス利用ともかけ離れています(船積みして燃料使って遥々海外から輸送してくるんですからね)。バイオマスは化石燃料に変る循環型のサスティナブルな世界を作るためには必須のエネルギーではあっても、経済効率優先の本末大転倒の使い方をしていたらどうなってしまうのか?

結局また演説してる…w

再生プラスチックだから

生分解だから

バイオマスだから

 

サスティナブルで環境にやさしいわけではない。

最近はコロナの影響で新しい生活様式なんて、これも私にはまったく理解不能なことが言われていると感じています。もしホットハウスアースのドミノ連鎖が起きてしまったら…

コロナの被害程度ではすまない…もうすでに世界中で自然災害による多くの被害が起きて、たくさんの人がなくなっています。本当に必要な新しい生活様式は、脱プラスチック生活だよなぁ~と思いつつ、毎日の生活で出るプラごみの量に…

自分のできることからはじめたいと思います!

テキスタイル担当瀧澤でした

 

では~



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TAKIZAWA

テキスタイル課 課長株式会社クロップオザキ
テキスタイル担当のTAKIZAWAです。
生地のことなら何でもお聞きください。趣味がトレッキングや山登りなので、アウトドアウェアにもちょっとだけ詳しいです。「テキスタイルコラム-Textileから見た世界」を担当しています。私のミッションは失われつつある美しい地球環境を500年後の子孫に残すこと…誇大妄想Innovatorです(笑)

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