2024.8.8

品川女子学院 被服部の皆さまとパールヨット様に訪問しました【2024年6月14日 第1回資材メーカー訪問レポート】

マーケティング・新規開発部の野崎です。

当社では、学生の皆さまにアパレル業界や服飾資材に興味を持っていただくための活動を積極的に行っています。

今回は、品川女子学院 被服部の皆さまから「文化祭での発表に向けて、洋服の素材を取り扱う会社を訪問してお話を聞きたい」とご相談をいただき、当社が日頃からお世話になっている資材メーカー5社を訪問することになりました。

その様子を5回に分けてレポートしていきたいと思います。

第1回目は6/14(金)に、品川女子学院 被服部の皆さまとパールヨット様のショールームに伺いました。

パールヨットとは

パールヨット様は、ミシン刺繍糸・特殊糸・工業用ミシン糸の総合メーカーです。アパレル業界では「刺繍糸といえばパールヨット」と名前が挙がるほど。原料選びから製法まで、最高品質にこだわった老舗のメーカーです。2022年秋に、本社の1階をカフェ&刺繍が体験できるスペースとしてオープンしました。

パールヨット「刺繍Cafe Labo」

「機械刺繍を身近に感じてもらいたい」という想いから、一般のお客様にもご来店いただきやすいよう、カフェを併設しています。刺繍業界は後継者不足や、新規参入のしにくさ等の問題もあり、技術を継承していくことも課題になっているそうです。

「パールヨットの刺繍糸」を多くの方に知ってもらうだけでなく、機械刺繍に触れていただくきっかけとなるよう、初心者でも扱いやすい刺繍機も導入した、ラボの運営を始めたそうです。

刺繍データの作成方法から刺繍機の使い方まで、スタッフの方に丁寧に教えていただきながら体験することができます。興味のある方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

訪問の様子

ご講義の様子

当日はまず、オリジナルの資料を拝見しながらパールヨットの最大の特長である、レーヨン刺繍糸についてお話を伺いました。特に印象に残ったのは、スレン染色についてのお話です。パールヨットの刺繍糸は、「保管状況がよければ半永久的に色が落ちない」と言われているスレン染色にこだわって作られています。しかし、このスレン染色は空気に触れてから発色するため、最も染め方や色の再現が難しい染色方法と言われています。思い通りの色を出せるようになるまでには何年も修業が必要で、パールヨットの750色以上ある糸の色を再現するのは熟練の職人でも苦労するとのこと。そんな職人の技術を使って作られるスレン染色の工業用レーヨン刺繍糸は、世界中でもパールヨットしか販売していないほど希少価値が高いです。

沢山のカラーの刺繍糸

ご講義の中で、汚れ落とし材を使った染色堅牢度の実験も行いました。反応染料を使って染色したレーヨン刺繍糸と、スレン染色のレーヨン刺繍糸の色落ち度合いを比較すると、スレン染色の色落ちのしにくさを実感することができました。

スレン染色 色落ちの実験

ご講義の後に、ラボでパールヨットの刺繍糸をつかった刺繍体験をさせていただきました。ご担当者の方に「好きな色の糸を2色、選んでください」と言われると、学生の皆さまは壁一面に綺麗に飾られた刺繍糸の中から、とても嬉しそうに好きな色を選んでいました。品川女子学院の「SJ」の文字を刺繍することになり、制服の色と見比べながら2色の刺繍糸を選んでいました。

 

刺繍機に糸を通す体験をしてから実際に機械を動かしてみると、想像以上のスピード感に歓声が上がりました。あっという間にサンプルのりんごのイラストと、「SJ」の文字が完成しました。

完成した【SJ】の刺繍

また、訪問当日はちょうど特殊工業ミシンの製造・販売を行っている株式会社森本製作所様との共同イベントを行っていました。パールヨット様が機会を設けてくださり、森本製作所のご担当者様に一つ一つミシンの解説をしていただきながら、日本で唯一の国産シャーリング・スモッキングミシンをはじめとしたさまざまな特殊ミシンの体験をさせていただきました。

シャーリング・スモッキングミシンを見ている様子

学生の皆さまにとってはどれも初めて見る特殊ミシンだったようで、一つひとつ「すごーい!」と楽しみながら体験されている様子でした。

シャーリング・スモッキングミシンでの作例

まとめ

私自身も刺繍糸の染色方法や特殊ミシンについて等、初めて学ぶことが多く大変充実した時間になりました。学生の皆さまも、説明を一生懸命聞いたり、盛り上がりながら刺繍やミシンの体験をされていたりと楽しんでいただけた様子で良かったです。

パールヨット様、森本制作所様、貴重な機会をいただきありがとうございました。

© CROPOZAKI inc.

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